平成24年7月

7月2日(月)
漢字のプロフェッショナル
 実は私、大雑把な人間に見えて、

案外、漢字と云うものにだけは人一倍強いこだわりを見せる男なんですよ



私が小学校4年生くらいまでは



字とか自分が読めればそれで良いっしょwwwwwww



みたいなノリで

自分にしか読めないスーパーシュメール文字を開発するという

超絶リアル消防時代を過ごしていたんですけど



小学校5年生あたりで

文字に対する自我みたいなものが生まれ始めて

テストを回収する時とかに

ひっそりと他の生徒の文字を見たら



まあこれまたお上手な字!!



感銘を受けちゃいましたよね



 それからというもの

小学校5、6年の時の硬筆の授業では

美しい文字の研究に明け暮れ、

『なるほど、

文字の入り方は必ず筆チックに斜めにカクッとやるのがいいんだなあ』とか

様々なコツを学んでいったわけです。

(今思えば、コツって云うか鼻につく書き方をマネただけなんだよネ)



 その事をきっかけにだいぶ字のほうは矯正されたんですけど

やっぱり苦手な漢字と云うものはそこいらにゴロゴロ転がってますね

でもまあその中で苦手な漢字の代表格って何ぞやってなると

『飛』!!

そう、その『飛』って云う漢字が未だに苦手なんですわ!



ね!分かるでしょ!!全然バランスとれないでしょ!!!

なぜにこれほど漢字ばなれした独特な文字を中国の漢字発明家が生み出したのか

私には不思議でなりませぬ!!



 色々なボキャブラリで、そして私の身体を使ってでもいかにこの漢字がヘンかを
お伝えしたいところなんですが!

やはり10年ごとに1000年歴史が深くなる中国4000年の歴史さんに目をつけられたらヤヴァいのです

ここはひとつ、『飛』なる文字を受け入れざるを得ないんですね皆さん



 私は、1時間かけて美しい『飛』を追求していった!

研ぎ澄まされた神経で

洗練された筆遣いで

失敗に屈することなく、

何度も何度も、このわけの分からん文字を書いていった



すると!

意外なコツがある事を発見した五番星!!

こ…こ…こいつはすげえ!!!



め…ちゃくちゃ…『飛』だ……!!!!

まさかこれほどまでの『飛』が自分の右手から繰り出されるなんて…






突破口を見出した五番星は、にわかには信じられない『飛』を書いていた…



五番星は恍惚とした表情で呟いた…



──正しい書き順で書く…何で俺は今までお前の事を知らずにいたのだろう…



そう!



正しい書き順で書く事!!!

これを!究極のコツ!いや!極意として!!

皆さんに伝授したい!!



くっ…くだらねえオチ…!!!



『飛』のせいで人生が台無しだとお嘆きの諸兄もこれだけ!で!

筆の達人もびっくりな『飛』を間違いなく書くことができましょう!



こうして…漢字のプロフェッショナルは…美しい感じの漢字の書き方を求めて

夜の闇に消えていった…



 いやあ、今回は大変有用な日記を書けたと自負してますね(馬鹿



あ、そうそう、あとは、

『飛』の縦棒の部分は、漢字のバランスを決めるキーポイントになりますので

漢字全体が横長にならないように、ちょっと長めすぎるかなあ程度に書いておくと

いい感じになりますぞ、くほほほ!

7月11日(水)
病院を引き寄せる男
 2012年…、恐らく今年の私は

──病院に貢いだ男ベストアワードでかなり上位にランクインする事間違いないぜ!!



 ことの始まりとしては

まず歯科治療を思い立ったんですね

実は、ワタクシ、噛み合わせがだいぶよろしくないんですよ

顎関節症と云うのか顎変形症と云うのかちょっとグレーなんですけども

親知らずの影響もあってか

食べづらいし、話しづらいし、そもそも骨格自体に支障をきたすと云う

魔の三連コンボにさいなまれ

このままじゃ、楽しい食生活が送れない!そして話しづらい事によって就職活動に大きな問題が影を落とすかもしれない!!そして何より、輪郭が変形しているゆえ、これは本来の俺じゃない!そう、本当の俺はもっと精悍でシュッとした輪郭をしていてかっこいいんだ!!!

 五番星の持つ本来の健康を取り戻すため

歯並びを最高の状態へ進化させ、支障をきたした骨格を本来の位置に戻すという

一世一代の大手術計画が進行し始めたのです!!



 ところで、

ワタクシ、左腕と比べて、右腕の上腕二頭筋らへんが

ムダにたくましいんですね

別に力んでるわけじゃないんですけど、なぜか力瘤ができてる!みたいな

普段から特に運動はしないんですけども、

まあこれは、持ち前の筆圧の強さで

自然とここまで鍛えられたんだろうなあって

ずっと思ってたんですよね



 でもなぜかこの力瘤が、2週間前にかなり腫れまして、

腕を上げるとだいぶ痛みを伴うようになったんですね

何なんでしょうね、別につり革につかまり過ぎたわけじゃないんですけどねえ

二十歳にしてはやくも五十肩かと、こいつぁ涙が出ますって!



痛みと腫れは一週間くらいでひいたんですけども

何ですかねぇ、

力瘤が、

肌色じゃなくて、土色に変色してきたんですよ!

こりゃあちょっとマズかろう!

私のシックス・センスがそう雄たけびをあげます。



 7月11日──東北地方の某大病院

先日に地元の整形外科で診断して頂いたところ、
何だかよく分からないタイプのものみたいで、
腫瘍に関する専門医の勤務する大病院を紹介されていたのだ

勇んで担当医のところへ診察を受けに行く

医師「へえーこれはすごいですねえ…どこかにぶつけたわけじゃないんですよね」
私「そうですねえ、そういった記憶はないですねぇー」
医師「うーん、なんでしょうねー、結構柔らかいですね、押すと痛いですか」
私「結構痛いですね…」
医師「変わった軟部腫瘍だなあ…うぅん、ちょっと分からないなあー」



…あんたも分からないんかい!



専門医も困惑する、謎の土色に変色した五番星の力瘤

詳細な検査を行う為、私は夢にまで見たMRI検査の切符を手にしてMRI室に殴り込んでゆく



 夢にまで見たMRIですけども

いや、…思ったほど面白くはなかったですね、本当に

私の想像では、映画アバターに出てきた、主人公が原住民になってる時に、主人公の肉体が眠っている保管庫みたいな

そんなSFチックなワクワク感を持ってMRI検査を受けたんですけども

長いし(1セット30分くらい)退屈だし、やかましいんですよ!

映画のSEとかでよく聞くマシンガンの音みたいなものが

ずーっと機械から発されてるんですよね

バババババババババ…!!!って

これで10000円は高いよナ



 1時間かけてMRI検査を終え、また担当医のところまで戻ると

私の右腕の力瘤の部分が見事にモニタリングされているではありませんか!!

この力瘤を形成する成分は一体何なのか???

私は、一度、たくましき右腕の力瘤を見たあと、モニターに視線を移した…



筋肉は黒で、皮下脂肪は白で表示されていると説明すれる医師…

肝心な力瘤の部分に色付けしているのは



まさかの謎のグレー



──機械でも分からないんかい!!!(ガチ



ってかそもそも筋肉じゃなかったんですね、

この力瘤、ただのイミテーションだったんですね

しかもめっちゃ分裂してモコモコしてるし…気持ち悪ッ!



様々な驚愕の事実をまざまざと突きつけられる我々



この力瘤、ならぬ腫瘍を組織する成分は何なのか

また、これは良性なのか否か



組織の一部を注射器で摘出して判断する治療を強く勧められ、

同意書にもサインをして

金曜日……新たな戦いが始まる…!



果たして無事、成功するのか

そして忘れ去られた顎関節症の治療の行方はいかに!!!

治療がうまくいけば続く!

7月24日(火)
二郎系ラーメンに挑戦す
 私の数少ない友人の中に、ともに音楽活動をしているクリエイティブな仲間がいる。

シシドと云う男だ。

彼にはラーメン通と云う隠れた側面があって、

昨年の10月に、当時、開店したばかりの、行列を作るほどの人気のラーメン店へ共に向かうことを打診された。

人気となればちょっと興味が沸いてくる。

繁華街をだいぶ迷子になりかけながらその店を目指して彷徨い歩く。

裏路地から大通りに抜けると、やっとの思いで長い行列を発見した。

『ははあ、ようやく辿り着いたか…』

行列の先を見ると、黄色地にゴシック体で書かれた特徴的な看板が目に入った。



ラーメン二郎

長い距離を歩いてきただけあって、

ラーメン店の看板が見えてくると急激な空腹感に襲われる。

空腹は最大の調味料、

まして人気店の味と相まって、それはきっと筆舌に尽くし難い味になるのだろうなぁ…!



肌寒い秋風が吹く中、約2時間、外で待ち、

ようやく店内へ案内される。

そして、強面のアニキっぽい店主に注文を告げ

ようやく私の目の前に差し出される人気店ラーメン二郎の看板商品……





15分後…



おれたちはコンビニで新鮮な水を買い、それを一気飲みしながら、

ラーメン二郎の陰口を

ひたすらに語っていた…

あれほど空腹状態だったのに

野菜1/4と、チャーシュー1/2、そして麺15本くらいで



具合が悪くなった。

もう何も食べれないし

何かこう、胃からこみ上げてくる熱いモノを感じながら

頑張って帰宅しました。

なんすか…、あの筆舌に尽くし難いラーメン二郎の味は…



次の日は寝込みましたよね、当然ですよありゃあ!!



 私は、ラーメン二郎の味を100点満点中で採点するとするならば

迷うことなく、



マイナス5万点を付ける側の人間です。

ラーメン二郎を愛するジロリアン全てを敵に回しても!!!

私のこのジャッジは揺るぎようがありません!!!



そんな、麺15本で敗退した去年のラーメン二郎のお話…





 そして本日、

シシドと云う男から、2度目のラーメン店への誘いがあった。

甦るラーメン二郎の思い出…

だいぶ嫌な予感しかしない…



「二郎系のラーメン屋だけど、二郎より食べやすいよ!」

さらに追い討ちをかけるシシド氏。ってかあの系の店って!!!

また挑戦するんですかシシドさん!!!



私達は、大学の講義を終えると、例の店へ向かった。

旧街道沿いの小奇麗な雰囲気の建物に似つかない、

赤地の看板に、太い文字でこう書かれていた…

たいやき本舗 藤屋



 この店の自慢は、何と云っても『鯛焼きラーメン』だそうだが、

一体どんなものかよく分からない看板商品である。

気になった私は、とりあえず注文しようかと思いましたが、



よく考えれば、ここ二郎系のラーメン屋ですよ



結局、持ち前のチキンハートが開拓心を見事に打ち砕き

普通のラーメン(650円)を注文する事に…



 そして待つ事10分少々、



二郎系ラーメン店を営んでいるとはにわかに信じがたいような

にこやかな青年が二人分のラーメンを運んできた



ラーメンが出されたこの瞬間、五番星とラーメン二郎の第2ラウンドを告げるゴングが鳴り響く。


うをっ!?

野菜の盛り方だとか、やたら肉厚なチャーシューだとか

すすりづらそうなやたら太い麺だとか

確かに二郎に通ずるものはいくつも散見される…



けども…



かなり良心的な見た目だ



これは…いけるんじゃないか…?



 まずはスープに浸かっている野菜を一口喰らう。

おおっ、そこまで悪くない味かもしれない、二郎パーセンテージは30%といったところだろう。

野菜を半分ほど片付けて、いよいよこの極太麺に挑む。

本家のラーメン二郎ご自慢の極太麺は、

もう、ばかみたいに太い上に、ばかみたいに縮れてるので

すすれないし、スープと云う名を騙った脂を飛び散らすだけの

怒りさえ覚えるレベルだったんですが

こちらのラーメン、

確かに二郎をインスパイアしただけあって、

無駄にすすりづらくなってますが、

そこまでいやらしさを感じないですネ



麺もそこそこに、たいへんボリューミーなチャーシューをも喰らってみると、

ぐぉっほ、キツい…、かなり胃への負担を感じるぜ…

食べ切るためには、チャーシューの誘惑に負けたらだめなんだ…



 このラーメンの勝敗を分けるのは、

チャーシューのペース配分だと判断した五番星。

野菜と麺をまずは片付けてからチャーシューに挑む作戦を考えた。

しかし、想像以上の太麺っぷりにだいぶやられ、

チャーシューに挑む頃には、いつも通り、



漢の尊厳を掛けての闘いへと、いざなわれていた…



二郎に二度も負けてたまるものか…

大学のみならず二郎浪人生の実力を見せ付けてやる…

あ、大学浪人と云えば、私はシシド氏よりも年上なのだから

人生の先輩として、かっちょ悪いところは見せられないぞ!!



様々な想いが、私の中でひとつに結びついてゆくのがわかる…!



一口、また一口、その間約30秒という驚異のスーパースローペースで

私は着実に突破口を切り開いていた…

チャーシューを咀嚼する時、きっと人々には、

一口一口ごとに、私の血肉となる食材に感謝の念を込めているようにすら映った事だろう…



大丈夫だ、

胃への負担の事もきちんと考えている…

最悪、もうだめだとなれば

おれは迷わず妥協するから大丈夫だ…



 入店から何十分経った事だろう…



私は、爽やかな笑顔で店主に代金を払っていた…



そう…、何を隠そう、私はこの闘いに勝った。



つまり…チャーシューを見事食べきって二郎に勝ったのだ!!



普段、食べ物を粗末にしているようにしか思えないフードファイターがなぜ、

これほどまでに食べる事をやめないのか…



うむ…、きっと…、この快感を覚えるためなのだな…、と



私は、彼らの思いをも知った…



でも、





野菜は食べ切れなかったです…、すまない!!!藤屋さん!!

あとちょっとだったんですって!!

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